2007年12月号(VOL-3)
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 今回の『国際理解講座』はより多くの方に国際理解を深めてもらおうと、市主催の『男女共同参画セミナー』との合同開催としました。
 小さな子どもさんを抱っこした若いカップル、小学生の子ども連れの夫婦、孫育てをしていると見られる方々など、幅広い層の参加がありました。RIFA会員の堀池優子さんの司会で祖国のこと、文化や暮らし、教育のこと、男性の家事への関わり等々についてお話していただきました。
 レフトサーリ・カテリーナ・寿恵さんはキリスト教宣教のためフィンランドから来日されたご両親のもと、日本で生まれ育ち、11ヶ月のお孫さんがおられ、宣教師として布教に努めておられるとのこと。緑を基調にした民族衣装での登場でした。森の近くに住んでいる人は緑色を、湖の近くに住んでいる人は青色を基調にした衣装を着ることが多いということでした。
 また、淡い紫色のチャイナドレスで登場の劉 穎(りゅうえい)さんは中国黒龍省ハルピンを故郷にもち、10代の頃一家で来日したとのこと。中国語と日本語の教職免許を持ち、多方面で活躍中。小学生の子どもさんがおられるお母さんです。
 カテリーナさんは「フィンランドでは小さい頃から自分の意見をはっきり言いなさいと育てられる」。そして「入学前の子どもには親が読み書きを教えないでと言われる」。また「3ヶ月ある夏休みには思う存分遊んで、いい体験をしてほしいと宿題はない。貴重な体験によって次のステップへの熱意が沸いてくる。塾はなく、女性が働きながら子どもを育てる環境を国が支えてきたし、性別で人を枠にはめることは禁句である。私は日本にいながらフィンランドのアイデンティティー(独自性・主体性)を持つようにして育った。両親の様々な努力に感謝している」と。また、家庭生活・子育てについては「役割は特に無く、得意なことをする。子どもの前で意見を言い合って、自分の意見に責任を持つ姿を見せている」と語られました。
 劉穎さんは、「中国では共働き家庭が多く、働く両親の姿をみながら育った。母の生き方が影響として今でも残っている」。教育について「中国はまさに受験戦争。子どもの負担になっていることが多いように思う。赤いネクタイをしている子どもは一つの目標であり、みんなで頑張ろう、優秀な子どもを育てようという目標がある」。家庭生活について「夫は出来る全てのことをやってくれている。日本で幸せに暮らせたら・・・という目標を持っている」と静かに語ってくださいました。
(注)中国では成績優秀な子どもに赤いネクタイをさせている学校がある

《講座に参加して思ったこと》 


 思えば、長い長い間、日本の共働きの女たちが望んで得られず、血のにじむような努力をしてやっと手にしたかに見える男女共同参画の世の中。フィンランドも中国も、とうの昔から男女の別無く、人間としてやるべき事をやっていたのだ。
 フィンランドは学歴社会ではなく生涯学習の国なので、15歳で概ね進路を決めて、将来自分のやりたい仕事に就けるように学校を選ぶ。有名大学に入りさえすれば就職には困らないと勘違いしている日本とのこの差。大学入学前の一年間は、ボランティアをする義務があるらしい。兵役義務もあるとの事。
 中国も、小学校では個性を大切にし、作文の時間を重視している。フィンランドと同じく共働きが当たり前なので、残業はほとんどない。また、職場に子どもを連れて行っても周りが温かく見守るし、妊婦が臨月まで勤めるのも当然のことだとか。
両国とも共働きの国だから、『専業主婦』という言葉すらないらしい。「家事は出来る時に出来る人がやる」。日本の男どもに聞かせたい言葉だ。
 今なお、職場で同じ仕事をしていても男女で賃金格差がある日本。まだまだ女たちの闘争は続くのだろうか。 
                                                      (K/F) 

2007年12月号(VOL-3)

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